【第35回】後期高齢者医療制度廃止

【第35回】後期高齢者医療制度廃止
民主党マニュフェストより
【五つの約束】
〈3〉年金・医療
後期高齢者医療制度は廃止し、医師の数を1.5倍にする。


さて今回は、殆ど実態が知られていないにもかかわらず、マスゴミが保険料の下がった人は無視し、保険料が上がった人だけセンセーショナルに取り上げたお陰で、すっかり「悪の権化」と化した後期高齢者医療制度について取り上げたいと思います。
非常に簡潔に記したつもりですし、根本が分かると制度そのものは簡単に理解できるので是非ご一読を。
まず定義付けから始めると、後期高齢者医療制度とは
『75歳以上の高齢者等を対象とする、他の健康保険とは独立した日本の医療保険制度』
ということになります。
名前の評判も悪かったので「長寿医療制度」という通称も福田首相(当時)の提案で作られましたが、相変わらずマスゴミはミスリードを誘い続けたいので「後期高齢者医療制度」という表現をしますね。
では「後期高齢者医療制度」が生まれた経緯について、ごく簡潔に纏めます。
実は「生まれた経緯そのもの」が制度の全てであったりします。


まずは保険制度そのものの違いを。
《従来の制度》
国民健康保険以外に、従来の勤務先の保険にも加入。被保険者証が2枚ある状態。
(現役時代、会社員だった人=健康保険組合、公務員だった人=共済組合など)
《現行制度》
→75歳以上の一律従来の組合から強制脱退。後期高齢者だけの独立した保険に。
これを何故一本化したのか。
その大きな原因は会社の健康保険組合の、老人保健法に基づいて拠出金の不払運動です。
ぶっちゃけて云えば「15年以上前に退職した人間の医療費を、現役世代に負わせられたらたまらないから、もう拠出金は払わない!」と反旗を翻したわけですね。
確かにこれ以上、会社の健康保険組合の収支を悪化させれば、会社そのものの経営が危険となる上に、若年層に負担のしわ寄せが全部来ます。
この問題を解決するために実に国会での10年近くの議論がなされました。
その結果導き出されたのが【独立型(75歳〜)】と【財政調整(65〜74歳)】の組み合わせです。
いわゆる後期高齢者医療制度というのは、この75歳以上の「独立型」保険組合となります。
何が「独立」なのかと云えば、文字通り75歳以上の方「だけ」で運営主体を都道府県単位とする組合に加盟し、保険料を一定額支払うことにより、医療サービスを受けられる、という制度である点ですね。


ということで、ごくごく簡潔に図式を纏めると。
政府は何も好き好んで75歳以上の老人を区分したわけではないのです。
財務省の本音としては、負担を増やしたくはなかった筈です。
「民間では支えきれなくなり破綻寸前になったので、国・自治体が公的資金を投入し、直轄の保険組合を作り一律管理する」
結果的にそういう方式を取らざるを得なくなっただけなのです(確かに制度の綻びが現時点でいくつかあるのは確かで、これは改善する必要はありますが)。


しかし。
何故かマスゴミはこの肝心なところを報道しません。
民主党が「後期高齢者医療制度を廃止する」というのを公約に掲げていることだけ報道し「もし廃止されたらどうなるのか?」という点には触れようとしません。
「制度は廃止するから、また元の健康保険組合さん、支払い宜しく」と云って、その健康保険組合が支払いをするとでも思っているのでしょうか?
彼らが拠出金支払いを拒否すれば、当然その負担は我々国民の税金以外ありません。
マスコミの世論調査で「社会保険政策で期待できる」というが民主党の一番目か二番目の支持項目なのですが、アンケートに答えた方々、本当に制度を理解した上でそう答えているのでしょうか?
いつも思うのですが、こういうアンケートを取った際、一度回答を取った後、改めてその制度の「正確な実体」を知らせた上で再アンケートを採るとどんな結果が導かれるのか。
大変興味深い結果が出ると思うのですが、マスゴミは絶対にそんなことしてくれませんよね。
だって、自分たちで情報操作して、回答者にその結論に導かせたのですから。
(続く)