【第19回】子供手当と扶養控除廃止(1)

【第19回】子供手当と扶養控除廃止(1)
今回の民主党マニュフェストで、一般の人には一番身近な問題である【子供手当と扶養控除廃止】の問題について、所得税の課税の仕組みから順を追って説明していきます。
国税庁のページより更に簡単に! 
それをコンセプトに解説していますので、所得税の仕組みについて簡単に知りたい方も是非読んでみて下さい。


まず根本に遡って、所得税の算出方法から説明します。
最初に、よく混同される用語に《給与収入》と《給与所得》があります。
では、まずそれぞれを定義付けします。
《給与収入》=給与の総支給額−交通費
《給与所得》=《給与収入》−《給与所得控除額》


この《給与所得控除額》を簡単に説明すると、自営業者の方の《必要経費》に当たります。
国によってはサラリーマンも確定申告を行い、必要経費を申請する国もあるそうですが、日本では《給与所得》に一律の計算式を当てはめ、機械的に必要経費を算出しています。
とりあえず《給与収入》が400万円の人の場合、以下の計算式になります。
 400万円×20%+54万円=134万円=《給与所得控除額》
つまり、400万円−134万円=266万円=《給与所得》
となるわけです。(参考式掲載)。 


さて、この《給与所得》に基づき所得税は課せられるわけですが。
所得税法は所得控除の制度を設け、所得税額を計算するときに各納税者の《個人的事情》を加味しています。
各々の所得控除の要件に当てはまる場合には、所得額から各種所得控除額の合計額を差し引き、所得税額はその残りの金額を基礎として計算されます。


この対象となる控除は幾種類かありますが、一般的に適用されるものは以下のようなものだと思われます。
基礎控除》 《社会保険料控除》 《生命保険料控除》 《医療費控除》
《扶養控除》 《配偶者控除》 《配偶者特別控除


このうち《基礎控除》の控除額は【38万円】、
社会保険料控除》の控除額は【支払額全額】、
《生命保険料控除》の控除額は【限度額10万円支払で、5万円】となります。
社会保険料控除》は年金や健康保険料のことを云います。
《生命保険料控除》については、給与所得者の方でも年に一度、事務に控除申請と保険会社等から送られてくる払込証明書を提出しているでしょうから、控除されていることが認識しやすいと思います。


で、ここからが本題……なのですが。
その前に今回の【子供手当と扶養控除廃止】に関係ない《現行の独身世帯の方》、つまり自分もですが(苦笑)、この人達の場合、この時点で所得税額の元となるテータが完成しています。
上記の例に挙げた《給与収入》400万円の方を例に取ります。
まず《基礎控除額=38万円》、
次に生命保険料を10万円以上払っている場合《生命保険料控除=5万円》、
最後の社会保険料控除は千差万別ですが、このくらいの収入の場合平均50万円前後だと想定されますので《社会保険料控除=50万円》と仮定します。


すると、以下のような式が完成します。
266万円《給与所得》
−38万円《基礎控除額》−5万円《生命保険料控除》−50万円《社会保険料控除》
=173万円《総所得》


こうして導き出された金額が課税標準の《総所得》といい、これを元に所得税が算定されます。
所得税は所謂《累進制》なっており、現行だと以下の税率になります。
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下     5% 0円
195万円超330万円以下 10% 97,500円
330万円超695万円以下 20% 427,500円
695万円超900万円以下 23% 636,000円
900万円超1800万円以下 33% 1,536,000円
1800万円超 40% 2,796,000円
つまり、この《給与収入》400万円の人の場合。
 173万円×5%=8万6500円 が所得税額ということになります。
ちなみに、もう少しだけ収入が多いと税率10%台となり「給料が上がったのに手取りはかなり減る」という事例が出てきます(自分もこの境界に差し掛かった時に10万円くらい税金が上がって orzした記憶があります)。


さて、以上の仕組みを念頭において。
民主党マニュフェストにおける【子供手当と扶養控除廃止】によって影響を受けると思われる《扶養控除》《配偶者控除》《配偶者特別控除》について見ていきましょう
……と云いたいところですが、とりあえず本日は『まず基礎を理解して頂く』と云うことで、この辺で。
明日から本格的に算出していきます。
(続く)