【第28回】文藝春秋9月号 誰も知らない民主党研究

【第28回】文藝春秋9月号 誰も知らない民主党研究
表題のタイトルに惹かれ、久々に文藝春秋を購入してみましたが、予想以上の内容で頭がクラクラ。民主党有力各議員の信条的立ち位置まで解説してあり、結構民主党幹部に詳しいつもりの自分でも知らない事実が幾つか出ていたので興味深く。
一部書き起こしてこのコーナーでも紹介しようかと思ったのですが、量が多すぎて断念……しかかったのですが、幸いネット上でも拾えましたので一部転載m(_)m。
エコノミスト・経済官庁官僚の目から見た民主党マニュフェストの検証記事で、大変読みやすい内容ですので是非ご一読を。
そして出来れば文藝春秋を購入して、それ以外の点についてもご確認を。
比較的政治色は薄いので、支持者・不支持者もそれなりに納得できるかと。


【16兆円マニフェストを検証する エコノミスト官僚座談会】
〜参加者〜
A(経済官庁官僚)     B(エコノミスト
C(国際問題アナリスト)  D(経済官庁閣僚)

A:解散で永田町が空っぽになってしまうと、我々霞ヶ関の官僚も手持ちぶさたです。なにしろ政策の「ご説明」を使用にも相手がいないのですから。
B:例年だと八月末までに各省庁が財務省に概算要求、九,十,十一月ぐらいかけてと予算の原案を詰めていくスケジュールだけど、
民主党政権になったら「政権移行期間」が1か月近くかかるだろうから、実質的に内閣がスタートするのは九月後半になる。
一から方針を立て直すなら、予算編成作業は大幅にずれ込んでいくことになるけれど、景気の二番底に向かうかもしれないし、失業率だって上がっている。対策が後手に回らないか心配ですね。
C:そもそも民主党は、財務省が主導して項目ごとに「対前年度比○○%増(減)」を決めていく今の予算編成のやり方自体がケシカラン、
官邸の国家戦略局を置き政治主導で一から組み直す、と言っているわけでしょう。
D:よくマスコミは「民主党が削ろうとしても、官僚が抵抗するだろう」と書くけれど、我々は抵抗なんかしませんよ。
1パーセント削るのでも各方面に言われて苦労しているのを、代わりにバサッと削ってくれるのならこんな楽なことはない。
ただそれが間違った結果を生んだらどうするか。政治家は選挙で審判を受けるからいいんだ、と言われるけど、だからといって後世に禍根を残していいわけじゃないでしょう。
間違わないために、我々が政治家にいろいろな情報を提供していたわけだけれど、それを「官僚の情報操作」「霞ヶ関支配」の一言で切り捨てられても・・・。
B:そう言いつつ、各省民主党とのパイプは用意しているのでは。
外務省は鳩山由紀夫民主党代表が官房副長官時代に秘書官をしていた北米一課長が官房副長官補に異動となった。首相秘書官に備えた「待機」ポストと言われています。
D:もっとも既に参院では民主党が第一党だったわけですから、説明や資料で自民党と差をつけるわけにはいかなくなっていた。その分仕事量は二倍以上に増えてますけど(笑)。
A:民主党政権になっても、きちっとした知識・経験を持った政治家が判断してくれるんだったら、それこそ「政治主導」になってくれた方がいい。
でも今の民主党には当選五回以上の代議士は30人弱しかおらず、閣僚経験のある幹部は小沢(一郎)さん、菅(直人)さんぐらいしかいない。そこへ百人以上の新人議員がドッと入ってくるわけでしょう。
C:イギリスを手本に、政治家が百人ぐらい政府に入って仕事をする、と民主党は言っています。省庁ごとに大臣の他に、副大臣2〜3人、政務官5〜6人ぐらいのイメージでしょうか。
どんな細かい案件でも官僚には任せず、政治家が判断するってことですね。
B:役所の仕事で表面から見えにくいのは、「調整」「根回し」でしょう。例えば補助金一つとっても、切られる方にしてみたら死活問題だから、関係各団体、自治体などと何度も話し合わなければならない。
あるいは自民党政調会で方針が決まっている法案でも、地元選出の代議士は反対、なんてパターンもあるし、当然野党との調整も要る。
そのあたりのことまで全部政治家がやるなら事務量的にパンクしてしまうだろうし、仮に少しでも地元に関係する問題だったらそれこそ「しがらみ」でがんじがらめになってしまうような気がしますけど。
A:まあ民主党も、やってみて始めて気づくんだろうけれど(笑)。
今までの自民党は部会ごとに議論してすりあわせが出来た政策が、党から内閣に上がっているというシステムだったわけでしょう。
部会に官僚が出向くのが癒着に見えたかもしれないし、「族議員」的なボスを産んだかもしれない。ただ部会は別名「平場」というように、
誰でも出入りが出来て、当選一回の議員でも自由に意見が言える。そこが自民党の人材育成の場になっていた。
議員は地元や業界団体の意向を代弁しているわけだから民主的プロセスを踏んで要るとも言えたし、日本的ものごとの決め方だった。
しかし民主党はそれは二重構造だから止める、役所に入った大臣と副大臣政務官だけで全部決めると言っている。
かつて細川政権の時、官邸と大臣だけで私学助成の大幅カットを決めてしまい、後で連立与党幹部が「聞いてない」と大騒ぎになったけれど、そう言うことが頻発する可能性がありますね。
D:事務次官会議を廃止して閣僚委員会で意志決定を行う、とも言っていますが、
あれは次官たちが一緒に弁当を食べているだけで(笑)。政治家抜きで、省庁同士が談合する場なんかじゃないですよ。


☆「天下り先に十二兆円」の実態
A:それでも二十年前と比べれば、政治家との関係は随分変わってきていると思う。
田中角栄はキャリア官僚の入省年次をすべて記憶し、昇進したり子供が生まれたりすると、百万単位のお祝いを贈ったと言われるけれど、そんなどこの国の花しかと思うから(笑)。かつては中央省庁の課長が一回生議員のところに説明に行くなんて考えられなかったけれど、今は下手したら局長だって行っている。
ただ僕らだって最初から「お前たちの言うことは信用できない」と決めつけられたら、仕えようがない。
鳩山さんは、「我々は自公と決別するために今回の選挙を戦うのではない。官僚機構と決別するのが真の目的なんだ」といっているんだから。
D:それって自分で頭と胴体を切り離してくれ、と言っているのと同じですよ。社長が社員を敵視する会社なんて無いじゃない。
C:「局長以上はいったん全員辞表を出させ、民主党の政策に賛成する人間だけを起用する」と言っていた。
それって時の政権に迎合する人間だけが出世するって話でしょう。
先月号で福田和也氏も指摘していたように、戦前の日本でもポリティカルアポインティー(政治任用)は広く行われていた。
しかしそれはむしろ政官の癒着をうみ、行政の一貫性を失わせる負の効果も大きかった。
D:今でも都道府県レベルだったら、知事が代わる度に部長が全員飛ばされた、なんてことはザラにある。知事は、大統領システムだからね。
国家公務員も県職員や市役所職員と同じで、税の徴収なり福祉の現場といったルーティンワークをこなせばいい、と民主党が言うのならそれもいい。
ただそうなると優秀な人は誰も国家公務員になろうとせず、生活保障されあればいいや、という人しか残らないのではないか。
そのときに、本当に政治家が全部自分で考え、決めるだけの腹が据わっているのかどうかでしょう。
A:国家公務員の人件費二割削減というマニフェストはどうか。いきなり給与を二割カットしたり、二割の人間をクビにしたりすることは法律上できません。
たぶん国交省の地方整備局のような出先でやっている仕事を、人員ごと地方自治体に移してしまうやり方でしょうが、
それでは国から地方へ帳簿の付け替えをしているだけで、国民の負担が減るわけじゃない。
C:天下りの全廃はどうですか。テレビでみのもんた氏が、「十二兆円ものお金が天下り官僚を食わせるために使われている」とやり玉に挙げていますが。
B:「十二兆円」は民主党衆議院の調査局に調べさせ、公務員OBが一人でも行っている団体・企業に、国から出ているお金の合計を出した数字です。
ただその内訳を見ると、一番多いのは日本政策金融公庫といった政府系金融機関への貸付、いわゆる財政投融資です。
金利を取って貸している金で、止めたからといって税負担が減るわけじゃないし、むしろ民間銀行に出来ない分野の融資を増やしていこうというのが時代の流れ。
後は科学技術関係の独立行政法人や大学などに国から出ているお金だけど、科学技術や高等教育への国の支援を一切止めるならともかく、
天下りを止めればその金が浮く、という話ではないでしょう。12兆円が、公務員OBの人件費やクルマ代に使われているようなイメージは全くの誤解だと思いますよ。
D:天下り禁止は役所の斡旋で企業・団体に再就職するのを止めさせるという話でしょう。市場価値のある人は個人の伝手でいくらでも引きがある。市場価値の無い人だけを税金で面倒見ようってことにならないか。
しかも民主党は年金支給開始の65歳まで公務員の定年を延長しよう、と言うのだから、総額人件費はむしろ増えるはずです。


☆高速無料化と温暖化対策の矛盾
B:ここで民主党マニフェストを、個別に見ていきましょうか。
子ども手当(必要額5兆3000億円)」
「公立高校無償化(同5000億円)」
「農業の個別所得補償(同1兆円)」   
「高速道路の無料化(同1兆3000億円)」
など、合計16兆8000億円ものバラマキとも言えるような政策が並んでいる。
今でさえ年間44兆円もの赤字国債を発行して税収不足を補っているのに、一体財源をどうするつもりなのか、誰でも疑問を覚えるところでしょう。
D:子ども手当は、0歳から中学卒業まで一人当たり月額2万6000円支給するって話なんだけど、
その代わり所得税の扶養控除や配偶者控除を廃止するといっているから、
子どものいない現役世代の家庭(妻が専業主婦の場合)はかえって増税になる。その不公平感をどうするのか。
A:高速道路無料化もおかしい。今高速道路会社六社で年間2兆6000億円の料金収入があるんだけど、
全体で40兆円の債務があって、その返済に2兆円、維持管理費に6000億円が使われている。
無料化すればそれらはすべて税金で面倒を見なければならなくなる。高速道路を使わない人には間接的に負担増になります。
そもそも地球温暖化対策でCO2を大幅に削減します、と言いながら、
高速道路は無料化するわガソリン税は減税するわでは、排気ガスが増えちゃうでしょう。政策の整合性がないですよね。
D:そのCO2削減だけど、民主党の出している目標は2020年までに1990年比マイナス25%削減というもの、
麻生政権の目標は2020年までに90年比マイナス8%削減だったから、三倍以上のとてつもないペースということになる。
減らす手立てとして、地球温暖化対策の創設や、企業からの排出量にキャップをはめることが挙げられているんですが、
25%削減を達成しようとなったら日本国内で大幅な工場の操業ダウンが必要になるし、雇用問題に直結します。
それらの経費や負担を国民に正確に知らせることが必要ではないか。
C:外交は相手がありきで継続性の世界ですから、政権交替したらと言ってドラスティックに変化してはいけない。
十一月にシンガポールAPECアジア太平洋経済協力会議)があり、その前後にオバマ大統領が来日する予定になっている。
そのあたりが新総理の本格的外交デビューということになるけれど、そこで日米関係についてどういうメッセージを発するのか。
鳩山さんは「友愛外交」と言っているけれど、英語でどう訳したらいいのか。「ラブ・アンド・ピース」でしょうか(笑)。
一つ懸念されるのは、民主党内の旧社会党系には、戦争責任問題でアジア諸国に心ゆくまで謝罪したい。と言う人たちがいること。
あとでホームページから削除されましたが、2008年の政策インデックスには「従軍慰安婦問題の再調査を」とか恐ろしい文言が並んでいた。
社民党と連立を組むことになればそういう動きが加速して、せっかく沈静化している中国や韓国に、わざわざこちらから火をつけていくことになりかねません。


☆「税金のムダ遣い」は減らせるか
B:財源の話に戻ると、民主党はムダ遣い、不要不急の事業の見直しで9兆円余りの新たな財源を捻出すると言っている。
分母となる国の予算の一般会計・特別会計の純計が焼く207兆円だから、9兆円ぐらい削れるはず、という大雑把な計算だと思うんです。
C:ちょっと待ってください、普通国の予算というと一般会計が80数億円というイメージじゃない。270兆円と言う数字はどこから来た数字ですか?
B:確かに一般会計は80兆円台ですが、その他に特別会計が170兆円ぐらいある。そこから重複分を差し引いた「純計」が207兆円(平成21年度)なんです。
特別会計は税金主体の一般会計とは別の財布で運営されている予算です。保険料収入で賄われている年金、雇用保険や、
民間金融機関では難しい長期・低金利の貸付を行う財政投融資(財源は国債の一種の財投債)などが代表的。
確かに国がやるべきかどうか見直しが必要な部分もあるし、透明化が求められている分野ではあるので、数年前から一般会計と足し合わせた純計を出すようになっています。
その207兆円の内訳を見てみると、実に四割の80兆円が借金の返済に廻り、年金等の支払いが46兆円、さっきの財投分に回るお金が10兆円ある。
これらの義務的経費は急には減らせない。仮に減らしたとしてもその分税からの支出が減るわけではありません。
それらを差し引くと、実施に手をつけられる支出は71兆円しかない。そこから9兆円削るのは大変な話ですよ。
D:71兆円のうち一番大きいのは、補助金の49兆円。民主党はここから6兆円は削れると言っている。
補助金というといかにも特殊法人にムダなお金がいって、というイメージかもしれませんが、実際には保険料ではまかない切れない医療や福祉への税からの補填、
地方自治体へ回る地方交付税、義務教育の学校の先生の給与、といった必要不可欠のお金が大半。
他にはJICA(国際協力機構)などへの補助金も含まれているけど、6兆円削るとそういう公共的な分野への国の補助はほとんど止めてしまえ、という話になる。余りに乱暴だと思います。
B:エコノミストの視点から「頭の体操」をしてみましょうか。
税主体で運営される一般会計が88兆円(平成21年度本予算)。メモリを一千万分の一に縮め、一般家庭にあてはめてみる。
夫婦に子供は男女二人、ただし長男は地方の大学に通って一人暮らし、同居のお祖母ちゃんには介護が必要になっている。
C:いやに設定が細かい(笑)。
B:まあ聞いてください。まず収入だけど、お父さんの年収(税収)は不景気で去年より70万以上減って460万円。
それじゃ足りないので、たまたま株の配当があったのと、貯金を取り崩した(その他収入)での90万円を家計に繰り入れた。
さらに何と330万円も借金をした。これで合計880万円。
C:なるほど、家計の四割近くを借金で賄うなんて無謀ですね。身の丈にあった生活水準に切りつめた方が良いと思うはずです。
B:その通り。ところが借金をしたのは今年が初めてじゃないんです。元本の合計が5500万を越えているので、利子の支払いだけで200万円が消えてしまう。
C:新たに330万円借金しても、そのうち実際に家計に使えるのは130万円ということですね。
B:そう。今度は支出の方を見てみると、長男への仕送り(地方交付税等)165万円、お祖母ちゃんへの介護医療費(社会保障費)に250万円近くかかっている。
それらを差し引くと、年間268円で家族三人の食費、家賃、長女の教育費などを賄わなければならない。
国の場合は、そこに公務員の人件費(5.3兆円)、防衛予算(4.7兆円)、公共事業(7.0兆円)、文教・技術予算(5.3兆円)などが全部入る。
公共事業などは今まで十年計画でやっていた事業を二十年に延長したりすれば年間1兆円ぐらいは減らせるかもしれない。
ただ高齢者の増加で社会保障費は毎年1兆円ずつ自然に増えてしまうので、焼け石に水ですね。
C:麻生内閣では一般会計の88兆円に加え、14兆円の追加経済対策をやっています。これは何処からお金が出たのですか?
A:いわゆる「埋蔵金」ですね。さっき話に出た特別会計には、事業ごとに積み立てているお金がある。それを取り崩せばいい、という話です。
D:三兆円強を特別会計から工夫して出したことを言っているんでしょう。
民主党から「一度できたんだから、まだ埋蔵金が残っているはずだ」と詰め寄られる材料を与えてしまった形になっているけど、あくまで一度限りの緊急避難的措置です。
そもそも大部分は新たな借金(国債発行)をしてまかなったんだから。(引用者注:追加国債発行額10兆8200億円)
B:今特別会計の積立金が全部で179兆円ある。そこに本来積み立てなくてもいい「埋蔵金」があるんではないかといわれているんだけど、
その内訳で一番多いのは国民年金などの保険事業の積立金が144兆円。
それでなくとも年金の未払いや予想以上の少子高齢化ですでに積立金は不足している。そこから取り崩すなんて到底出来るはずがない。
残りは外国為替資金特別会計(20.3兆円)や、財政投融資特別会計(3.2兆円)の積立金。
外国為替資金は国が米国債を買って運用している部分だけど、為替の変動リスクがある。
例えば1ドルが93円までに上がったら、米国債を買った時点とのレートの差で24.5兆円の含み損を抱えてしまう。
そういうリスクに備えて積んでいるお金なんです。財投の方も金利の変動による損失に備えて積んでいる。
逆に円安になったり金利が高くなったりして儲けが出る場合もあるけれど、
そのときは一般会計に組み入れたり、国債の償還に充てている、まさになけなしのお金なんです。
そもそもこれらの特別会計は税金を財源としているわけじゃなくて、加入者の保険金や財投債の発行によって運営されている。
税収不足の穴埋めに使うのは、本来の筋とは違うはずです。(続く)


☆真に必要な政策は
A:今でさえ国と地方合わせてGDPの1.5倍、先進国では圧倒的に一番の借金を抱えている。
怖いのは国内だけで国債が消化しきれなくなり、外国に買ってもらって借金で生活するようになることです。
そうすればかつてのアルゼンチンのように国債が破綻して政府の財政は破綻、同時に円も暴落してインフレーションが起こり、
1400兆円といわれる個人金融資産も目減りし、場合によっては紙屑になってしまう最悪のシナリオも想定される。
B:結局問題は、税収不足に行きつく。租税負担率、簡単に言えば国民が収入のうち何パーセントを税金として納めているかという国際比較をしてみると、
スウェーデンの49%は言うに及ばず、イギリスの38.5%、フランスの37.8%に比べて日本は23%と圧倒的に低い。
アメリカの26.1%とさほど変わらないように見えますが、公的医療保険が不十分だったりする「自己責任」の国だから、その分国民サービスの水準も低い。
日本はずっと「中負担・中福祉」の国と言われてきたけど、実は「低負担・中福祉」の国なんですよ。
もし民主党政権交代を言うなら、消費税を上げて財政支出に見合った負担を国民にお願いするか、
あるいは財政破綻した夕張市みたいに警察、教育、医療といった国民サービスの部分を、今の税収レベルに合わせて半分近くまで切り下げるか。
そうした選択肢を掲げるべきです。肝心の財政の話をせずに、票目当てのバラマキの話ばかりするのは勘弁して欲しい。
鳩山さんは「四年間消費税は上げない」といっているのだから、結局は自民と同じで借金を重ね、ツケを次世代に送るつもりでしょうか。
C:これでは不毛な政権選択になってしまう。この国の未来に向けて、本当に必要な政策は何なのでしょうか。
B:人口が減れば国力が減退するのは避けられない。少子化対策はもっとも大切でしょう。教育への投資や、規制緩和の拡大で新たな内需を作ることにも、もっと真剣に取り組まなければいけないと思う。
A:かつてトヨタパナソニックといった日本企業は世界で最高水準の品質のモノを作れば、値段が高くても欧米市場に売れた。
ところが昨年末の金融不況で欧米が沈み、中国・インドなどの新興国では高い製品は売れない。
「高スペックの単品を輸出し、外需でGDPを稼ぐ」という国家戦略そのものが見直しを迫られている。
原子力太陽光発電、水、鉄道といったインフラに対し、日本の持っている高い技術水準を、単品ではなくシステム全体として海外に売り込むようなビジネスが突破口になるのでは、と期待している。
D:それにしても社会保険庁の問題、居酒屋タクシー、とスキャンダルが続き、「官僚を叩けば票が取れる」という時代にしてしまったのは、
自身で蒔いた種というところもある、我々役人も反省しなければならない。
A:売上げの伸びてない会社が内向きになって雰囲気が暗くなるのと同じで、GDPが伸びないと官僚が叩かれる(苦笑)。
ここは踏ん張りどころで、再び日本に成長をもたらすため、官僚の持っている知識やノウハウを政治家や企業に伝えていけば、意外にと面白い時代になると期待するしかありません。
(終わり)