【第26回】民主党と日教組

【第26回】民主党日教組
丁度タイムリーな記事があったため、本日は民主党マニュフェスト検証をお休みさせて頂いて、民主党日教組の関係についてのお話を。
輿石東(こしいし あずま)という民主党参議院議員がいます。
山梨県教組委員長で、山梨県選挙区当選。
まだ当選回数が2回であるにもかかわらず参議院議員会長をつとめ、事実上参議院民主党を支配しているこの輿石議員の支持母体は「日教組」こと日本教職員組合。日本における教職員組合の中で最大の規模を誇る組織です。


まず、本日配信された記事からのご紹介。長いですが全文引用します。

静岡県知事選で、私どもが推薦した川勝平太さんに、皆さんがご指導いただいたおかげで勝利をつかみ取ることができました」
7月6日、東京・永田町で開かれた日教組大会。民主党代表、鳩山由紀夫日教組出身の参院議員会長、輿石東らとともに出席し、前日の静岡県知事選での支援に深く頭を下げた。
静岡県知事選では、輿石が7月1日に静岡入りし、県教組の全面支援を取り付けていた。公立学校教員の政治的行為は法令で厳しく制限されているが、輿石は意に介さず、大会でいつもの持論を展開した。
「政治を抜きに教育はない。教育を語るとき政治を語らなければならない」
民主党は、有力な支持組織を連合のほかに持っていない。そして、頼りの連合の中でも「選挙に強いのは自治労日教組」(UIゼンセン同盟幹部)だ。
日教組は昭和22年に連合国軍総司令部(GHQ)の意向で設置されて以降、ずっと政治闘争を繰り返してきた。そのエネルギーはいま、民主党政権実現のために傾けられている。
輿石がかつて委員長を務めた山梨県教組「30年史」にはこう書かれている。
《国会議員を送り出せる山教組という、自らの戦いによって勝ち取った大きな「政治力」は、つぎには、山教組と協働しうる県知事を当選させ、県議選に大きな力を発揮してきた》
代表代行、小沢一郎は7月25日、山教組の政治団体の勉強会で、早くも来年の参院選後の輿石のポストを“予言”してみせた。
「本人が嫌だと言わない限り、参院議長という名誉ある地位が待っている」


北朝鮮に親しみ
7月25日、宮崎市のホテルで開かれた自民党の会合。首相補佐官拉致問題担当)の中山恭子北朝鮮問題にからめ、こんな事実を明らかにした。
「政府が独自の制裁措置をかけたとき、元日教組委員長が議長を務めるグループから首相あてに、『日本が北朝鮮に制裁措置を加えるのはけしからん、直ちに制裁措置をやめるべきだ』という要望書が届いた。びっくりした」
中山が紹介したのは元日教組委員長、槙枝元文が議長である「朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会」が昨年12月、首相の麻生太郎と外相の中曽根弘文あてに送った文書だ。
槙枝は日教組委員長を12年間も務め、“ミスター日教組”といわれた。最も尊敬する人物として故金日成主席の名前をあげ、平成3年には北朝鮮から親善勲章第1級を授与されている。
北朝鮮寄りの姿勢は、槙枝だけではなく、今も日教組の政策に受け継がれている。今回大会で採択された議案には「『日朝国交正常化連絡会』とともに、国交正常化にむけ…」とある。
日教組が連携をうたう連絡会は、今年4月5日に北朝鮮が発射した弾道ミサイルについて「ロケット」と主張する。また、発射直後の4月9日には外務省を訪れ、対北制裁措置の即時解除を求めてもいる。
日教組は以前に比べイデオロギー色が薄まったとされるが、やはり根っこは変わらぬままだ。そして民主党には輿石をはじめ、8人の「日教組議員」がおり、うち3人が「次の内閣」閣僚に名を連ねている。


基本法どこへ
民主党衆院選マニフェスト政権公約)には、なぜか「日本国教育基本法案」について一切触れられていない。政策集「INDEX2009」には「民主党の教育政策の『集大成』」と掲げられているにもかかわらずだ。
その理由について、民主党政調幹部は「理念的なものじゃなく、子ども手当とか高校無償化といった、具体的に実感できるものにした。『教育基本法を変えます』と言っても票にならないからだ」と語る。
ただ、副幹事長の笠浩史は今春、日本教育再生機構の座談会で「衆院選マニフェストには、日本国教育基本法を制定すると明記します」と明言していた。
このため、党内では「日教組には『日本を愛する心』を明記した法案に強い抵抗がある。選挙前に日教組の反感を買う必要はないとの配慮だろう」(中堅議員)とささやかれている。
一方で、「教員免許制度の抜本的な見直し」「公立小中学校は学校理事会が運営」など、マニフェストに掲載した教育政策は、日教組のそれと合致する。
民主党政権の誕生に、日教組サイドの期待は膨らむ。日教組書記長の岡本泰良はこう展望を語る。
日教組として、今まで自民党の政策には反対し、文科省には要求をしてきたが、提言する余地はなかった。政権交代が実現すればいよいよ提言ができる」
猛暑の選挙戦をくぐり抜けた先で、日教組には「わが世の春」が待っているかのようだ。
(敬称略)


物凄〜く根本的な話から云いますが。
本文中にも触れられていますが、公立学校教員の政治的行為は法令で厳しく制限されています。法令違反行為をここまでおおっぴらに言明しておきながら、輿石議員は平気です。
何故ならもっと派手な前歴があるからでして。
平成16年の参院選前に、地元山梨県教員組合などで構成する事実上の輿石議員の政治団体が教員から選挙資金を集め、山教組幹部らが政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で罰金命令を受ける事件がありました。
どう考えても責任を問われるべきは「政治を抜きに教育はない。教育を語るとき政治を語らなければならない」というのが持論であり、OBを含む教員から半強制的にカンパを募り、ポスター貼りをさせ、電話作戦を強要し、自身の後援会入会カード集めにノルマを課し、学校内で選対会議を開かせ、授業は自習だらけにさせた輿石議員本人にある筈ですが、当の本人は「私の関与していない話である」で最後まで押し切ってしまいました。


何故選管は本人に聴取しないのか?
いえ、それ以前に上の「事件」については、全国紙では殆ど触れられていないのか?
ともあれ、輿石議員は全く法令違反を気にとめることもなく、言いつのります。
以下は今年1月、日本教育会館で開かれた日教組新春の集いでの発言。
党代表(当時・幹事長)の鳩山由紀夫は教員らを前に堂々と輿石議員はぶち上げました。
日教組政権交代にも手を貸す。
教育の政治的中立といわれても、そんなものはありえない。
政治から教育を変えていく。私も日教組とともに戦う』
繰り返しますが、輿石議員の発言は、教育の政治的中立の確保を目指す教育基本法や教育公務員特例法を真っ向から否定しています。
ちなみに、民主党の日本国教育基本法案にも反しているのですが、民主党内に問題視する声はありません。勿論、日教組の組織票を獲得するためです。


この際、日教組の主張の正否については敢えて触れません。
個人的にはどう考えてもおかしいと思いますが、思想・信条は自由ですから。
ですが、ここまで法令違反を公言し、しかもそれが一議員ではなく、民主党参議院議員会長という要職にある人物が――しかも小沢氏の発言からすると、次期参議院議長が――繰り返しているにもかかわらず、これを問題視しているマスコミが殆どないという事実の方が余程恐ろしいです。
例えば、日の丸掲揚・国歌斉唱を推進する自民党文教族議員がこう公言したらどうでしよう?
『政治を抜きに教育はない。教育を語るとき政治を語らなければならない』
間違いなく「政治の教育干渉だ!」と新聞・テレビで袋叩きにされます。
逆に云うと、輿石議員の発言が問題視されないのはその政治・信条が、マスゴミの「国民を誘導したい方向の思想・信条」だから、と考えられるわけで。
これで政権交代が実現し、それでもなお輿石東議員が今と同じ事を公言し続けた際、マスコミがそれを取り上げなかったら、本当にこの国のマスコミは救いようのない偏向機関であることを自白しているようなものとなるでしょう。
いえ、政権を取った瞬間に口を閉ざし、日教組の都合の良い法案を粛々と通し続ける可能性も高いと思いますけれど。
(続く)